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2012年1月11日水曜日

イレッサ訴訟、弁護士のミスで上告却下


薬害イレッサ訴訟で、弁護士のミスで上告が門前払いになったそうです。以下、時事通信から。

弁護団ミスで2人の上告却下=印紙代払わず-イレッサ訴訟
肺がん治療薬イレッサの副作用被害をめぐる訴訟で、原告側逆転敗訴を言い渡した昨年11月の東京高裁判決を不服として最高裁に上告した3患者の遺族4人のうち2人について、弁護団は10日までに、訴訟費用に当たる印紙代を払い忘れるミスで上告を却下されたと発表した。
2人については高裁判決が確定したことになり、弁護団は謝罪した。残った原告の訴訟を継続するという。
弁護団によると、原告2人について、昨年12月7日までに印紙代を納付するよう命じられたが、事務局長の男性弁護士が手続きを忘れたため、同月8日に上告を却下された。不服を申し立てたが、今月7日付で退けられたという。(2012/01/10-19:45)


薬害イレッサ訴訟弁護団サイトによれば、東日本訴訟原告団の事務局長は阿部哲二弁護士でしょうか。


弁護士のミスによって当該原告は、上告して裁判を受けるという、当然に持っていたはずの人権を奪われたわけです。 


このことについては、「業務上過失人権侵害罪の立法を」にも書きましたが、医療で同様のことが起これば、人が死ぬことがあります。医療行為でミスがあって人命を奪えば業務上過失致死だというのならば、弁護士業務でミスがあって人権を奪えば業務上過失人権侵害として刑罰に付すに値すると思います。 


法律家はそういう連想をしてみないことには、医師の業務に対して業務上過失罪を科すことによる、労働環境の苛烈さを理解できないことでしょう。 


ちなみに上告却下のポカは、こちらにあるように、弘中惇一郎弁護士が犯したのを見たことがあります。  


イレッサ訴訟弁護団と、私とのちょっとした関係は、「これを治っているというのはどこの医者だ!」で書きました。イレッサ訴訟とは全く関係ないですが、ご関心があればご覧ください。

2011年12月21日水曜日

ニキビエステ訴訟の原告敗訴

本年10月19日に傍聴した事件で、ツイッターで概要を簡単に報告した事件です。本日原告敗訴判決が出たので、まとめて報告しておきます。傍聴当日に書いたツイッターでの報告は以下のとおりでした。
今日東京地裁で見た裁判。18歳女性、ニキビ顔にケア液でエステして却って悪化。ケア液の会社とエステティシャンが共同で12ヶ月分の治療費を出した。状態は一進一退し、治療を担当した皮膚科医も、「会社側はもう十分誠意を尽くした。今の症状はケア液と因果関係はないと思う」と進言し、会社側らが治療費負担をを終了したところ、その後の治療費を支払えとして、女性が会社側を訴えた。傍聴席に母親と思しき人物らがいて、被告の証言にいちいち「嘘言っちゃって笑っちゃうわね」的な反応を見せる。人証調べを終了し、裁判長が弁論終結を宣言すると、原告代理人が「主張をまとめるので、あと一回弁論期日を希望」した。裁判長がそれを採用しないことを宣言すると「ちょっと腑に落ちないところがあるが」云々を言い出す始末。あんたがこの事件を請け負ってることのほうがよっぽど腑に落ちんわ。事件番号は平成22年(ワ)第45106号。

2011年12月13日火曜日

原告代理人だらだら尋問、予定60分のところを90分

平成23年11月2日に、担当医の証言を傍聴した事件です。


整形外科の術後12日目に肺塞栓を発症し、出血リスクが高かったためヘパリン2万単位のDIVを施行したところ、翌日に脳出血を来したということのようです。眼科医の私にはあまりよくわかりませんが、仕方がなかったんじゃないのかな?という印象でした。

原告代理人は、予定時間60分を大幅に上回る90分の尋問で、同じことを何回も何回も聞いていました。とにかく、心エコーをしなかった所で過失を認めさせたいということのようでした。

原告側の質問はほとんど、カミヤ弁護士という女性弁護士がしていましたが、その隣に座っていたのが、伊藤紘一弁護士でした。
http://www.itoh-law.com/100/



原告協力医の証人尋問も傍聴する予定なので、追ってご紹介します。


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7月10日10時30分、第1アタック
vital安定、意識清明
胸痛→AAA、AMI、肺塞栓鑑別
AMIは否定的だった。
CT施行。肺塞栓診断。
ヘパリン投与 アドバイス。
整形外科、放射線科チームと相談。
2万単位DIV
出血リスクが高かった。
整形外科手術後12日目。

骨を開けて手術した。
ヘパリン
APTT値延長 1.47まで

7月11日 4時 第2アタック
意識(-), ショック状態
脈、呼吸(+)
CPA(-)
心停止に近い状態。

脳CTと循環 どちらを優先→循環
先生の対応は ABCをした。
Bは酸素投与と人工呼吸
その後に検索。肺動脈造影
肺塞栓症
カテーテルを肺動脈に挿入。血栓溶解
血栓溶解不十分→ICUで持続的にした。
その前にフィルター留置
23:00~0:00頃、(医師が)病院を退去
「隣のホテルに待機しているので、携帯に連絡を」
連絡はなかった。
23:00に最終診察。
神経学的所見 異常(-)
7:00頃 看護師から瞳孔所見異常
対光反射遅延
自発呼吸(+)
脳死ではない。
鎮静薬を注視した。
意識は戻らず。
血栓溶解療法していたので、出血を疑い、頭部CT

出血性脳梗塞
大脳半球に広範な脳梗塞

家族同意→転院

原因は肺塞栓 右→左シャントで
卵円孔開存の可能性 血栓が飛んだ。
当時は確認されていなかった。
その可能性が高いと。

第二次アタック 主人から なぜ眠った状態か?→ 鎮静薬で眠っていると説明。
2週間で出れると説明。
亡くなるかも、緊急手術かも、人工心肺かも、と説明。

原告から、第1時アタック時に血栓溶解療法を施行すべきだったと言われているが
→ 全くそう考えない

右心機能不全、出血リスク → 抗凝固療法単体がすすめられる状態。
右心機能不全は、レントゲン、ECG、CTで確認した。
心エコーはしていなかった。
心エコー単独では判断しない。
心エコーで右心機能低下なら血栓溶解療法をしていたか?→そんなことはない。
意見が分かれる。

原告側 クニエダ医師意見書
第1次アタック後 肺動脈(圧?)上昇(-)
→エコーではわからなかった。

放射線科医師から、「血栓が沢山→抗凝固療法をすべき」とは?
→ 言われていない。「するべきではない」と

第2次アタックは予防できたか?
→言い切れない

第1次アタック発生時、第2次アタックの可能性は? 
→高くはなかった

原告は低酸素脳症で
CPAではなかった。頸動脈はずっと触れていた。手足は動いていた。

右心負荷がなかったこと
心エコーしていない
→ 臨床症状、臨床所見で。総合的な判断。

CTには白い部分はなかった
→ あったと記憶している。

2011年12月10日土曜日

ここまで説明しても説明義務違反?!


ETSの説明義務違反で、110万円賠償の判決が出た事例の続報です。
事件番号は、平成21年(ワ)第55号、裁判長は高橋譲判事でした。
判決文をざっと確認してきたので、その説明内容と、それに対する判断などを記します。

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患者に交付したビデオ内容(患者はそれを見たことも確認されている)
手術後長期にわたって残る続発症は、ETSがもたらす効果の裏返しの関係にあり、手の汗を止めて快適な生活をするには、ある程度の負担の覚悟が必要。
最も頻度が高いのは、背中や腹部、さらには臀部などの発汗が増加する代償性発汗。個人差があるが、ETSを受けたほとんどの人に起こる。

パンフレットの記載内容
ETSの効果が半永久的に続くのと同様に、副作用も長期間続く。手術の効果が及ばない範囲である腰や臀部、下肢の汗の量が手術前より増える。ETSを行うと顔や手などの胸より上の部分の汗が止まるため、それより下の部分の汗の量が増える。ほとんどの患者に起こるが、代償性発汗を自覚しているのは約3分の2の患者。つまり、手術後には足の汗が増える可能性が高いということである。

直接の説明
ETSの内容、手掌からの発汗が止まること、ETSの副作用を説明。代償性発汗については、胸より上の汗が止まること、胸より下の汗が増えること、程度は人によって異なること、ETSを実施したほとんどの場合に代償性発汗が発症することを説明した。
代償性発汗の量がどの程度になるか、重篤な代償性発汗を発症することがあることについては説明をしなかった。
原告はホルネル症候群について最も気になっていて質問したところ、めったにないと回答した。代償性発汗で止まった部分の汗が体の他の部分から出るとは聞いていたが、出なくなる部分の汗がどのくらいの量であるかについては特に質問しなかった。

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説明内容等に対する裁判所の判断

平成10年当時の発汗量の評価は、患者本人の訴えによる主観的な評価に依存している。手術後や治療効果を判定するためには客観的な評価が不可欠と考えられるが、その報告は少ない。

原告は、ETSで手掌多汗症が治ったこと自体には満足している。
適切な説明を受けていれば本件手術を受けていなかった、とは認められない。

平成10年当時にも、ETS術後に日常生活に支障があると訴えた患者はいた。当時NTT関東では手掌多汗症の患者が大量で手術は2年待ち。多数の手術経験があったと推認できる。ETSで重篤な代償性発汗が、ETSを行う医療機関の間で一般的な認識になっていたとまでは言えなかったとしても、NTT関東の医師においては、文献調査が十分可能であった。現に、平成7年までには、精神的に問題がある患者であったとはいえ、社会生活不能な事態に陥った症例や、ノイローゼになった症例を経験していた。

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平成10年当時の発汗量の評価は、患者本人の主観的な評価に依存していたようです。そうすると、普通に考えれば代償性発汗についての覚悟を促す内容となっているこの術前説明は、その治療を受けるか否かの利害得失を検討するのに必要かつ十分な情報を提供したものと言って差し支えないでしょう。

さらに言えば、平成10年当時には、「ETSで重篤な代償性発汗が、ETSを行う医療機関の間で一般的な認識になっていたとまでは言えない」そうです。この点からも、「日常て生活に支障をきたすほどの代償性発汗を発症することがありうること」を説明しなかったことについて、過失を認めるには足りないと思われますし(裁判所もこの点での過失を認めているわけではないようですが)、多数の手術をこなしていたNTT関東病院での術後に社会生活不能な事態に陥った症例は、精神的に問題があった患者だというのですから、やはり「重篤な代償性発汗発症の危険性が一般に起こりうること」まで説明をしなかったからといって、過失を認めるということにもならなさそうに思います。

どうやら裁判所は、NTT関東(というかこの術者)はETSを多数行う専門性を持っていたのだから、文献調査を徹底的に行なってその危険性を伝えておかなければならなかった、ということを言っているようです。しかしこれも不思議なことで、ETSを多数行う専門性を持っているのであれば、どちらかと言えば情報提供側になることが多いと考えられますが、裁判所は逆のことを考えているのでしょうかね。医学的知見の拡散についての認識に、ちょっと無理があるように思いますがね。

なんにしても、この事例で無責判決(原告敗訴判決)ならば無理なくスッと書けると思われるのに、この判決は無理を重ねて有責判決に仕立て上げられた、いわば原告にいくばくかの花を持たせるように無理を重ねたと感じられて、いかがわしくて仕方がありません。

先日は判決文だけしか見れなかったので、後日、他の記録も見てみてから更に検討したいと思います。

2011年11月25日金曜日

手術を思い止まらせるのが説明義務なのか?

今年(平成23年)の6月に傍聴した事件と思われる、多汗症に対する手術の説明義務が争われた事件の判決が出たようです。事件番号は平成21年(ワ)第55号でした。


共同通信の配信によると、
判決は「ETSの後では、別の部位から多量の発汗があり日常生活に支障が出るなど、術前より苦痛を感じる場合があることを医師が説明していなかった」と過失を認めた。
と、説明不足があったという判断だそうです。


しかし、私が原告本人と、担当医師の尋問を両方聴いたところでは、手術そのものは成功して手掌の発汗は止まったそうですし、術前には代償性発汗の説明があって、原告本人も、乳首のラインより上から出なくなった分が乳首より下の部分から出るようになることを、術前に説明を受けて認識していたということでした。さらに言えば原告は術前に説明ビデオなどを渡されて、検討する時間も十分あったそうです。


それだけ説明してなお、「術前より苦痛を感じる場合がある」という説明が義務だという理由が、皆目見当がつきません。「乳首のラインより上から出なくなった分が乳首より下の部分から出る」という具体的な説明をしてありながら、なお「術前より苦痛を感じる場合がある」という抽象的な説明する義務を科すような判断というのは、我々の理解を超えています。


東京地裁民事第14部、高橋譲裁判長。以前からちょっとアレ気なところを感じていましたが、いくら何でもひどいんじゃないでしょうかね? 後日判決文を読んで、改めて報告することになると思います。

2011年9月21日水曜日

弁論終結の予定日に新証拠を出そうとする弁護士

平成23年9月14日の傍聴記です。 まずは東京地裁民事第35部、事件番号平成23年(ワ)第25250号、第1回弁論。原告代理人のみ出廷。 2年前にも代理人同士で直接相談したことがあり、時間が経ってしまった事案で、被告病院からはカルテがないので対応できない旨伝えられているという。医学的に簡単な事案ではないとも言われていた模様。当時の医師もいないと。今回、カルテがない旨の内容証明郵便も届いているとのこと。 原告側、これで訴訟提起をして、やっぱりカルテが本当になければ、慶應病院などのカルテ等で一方的に理解して主張するかもというような話。訴状に対する被告側の出方次第だとも言う。 無理じゃねーの? お次は東京高裁第23民事部、事件番号平成23年(ネ)第1909号、弁論。 本日弁論を終結しようとしていたところに、控訴人(一審原告)が新証拠を提出した模様。それも医学的意見書か何かの結構な証拠らしい。被控訴人側からは、証拠採用をするならばこちらも準備して反論しなければならないので終結は困る、とのこと。裁判官3人合議のため一旦退出の後戻ってきて、「終結して、被控訴人の今の主張についても判決で判断をします」との旨を述べられた。つーことは控訴棄却でしょうw つーか終結の日に出すなよ。 患者側弁護士とかが医療事故調とか騒いでいて、それはそれでいいんですど、弁護事故調も同時進行したほうがいいんじゃないですかねぇ?

2011年8月31日水曜日

まただよ@谷直樹弁護士@苫小牧市立病院の事例

 例の、法的過失の理解が怪しい谷直樹弁護士のブログからですが、苫小牧市立病院,気管切開でカニューレが適切に挿入されず死亡した件で示談とのことです。

 まずはお亡くなりになった女性のご冥福をお祈りします。

 さてブログ記事によると、
市は「重大な過誤、過失はなかったが、気管切開手術が死亡要因であることは確か」としている。
とのことなのですが、病院側がそのように考えているとなると、少なくとも市側から進んで補償をすべき根拠はないと思われます。

ところが谷直樹弁護士によると、
厳密にどの行為に過失があったのかを具体的に特定することはできなくても,気管切開を行って,カニューレが適切に入らなかった(入れられなかった)という事情から,補償をすべきというのは,常識的な考え
だというのです。

示談金は500万円だそうですが、そのお金はもともとは市民の税金や病院の収入でしょう。脳出血で意識障害を起こし血腫の除去手術を受けたが、症状は改善されなかったという方の処置で、かつ重大な過誤、過失はなかったという事例に対して、金銭を支払って示談するのは如何なものでしょうか。苫小牧市民は、これによって市政や市民病院の診療原資が500万円分下がることに対して、疑問を抱かないのでしょうか。

このような例を見ると、いつも不思議に思います。

2011年8月24日水曜日

何が正しいのかわからない賠償判断

最近その存在を知って注視している、谷直樹さんという弁護士のブログがあります。

そこに、山形大学のカテーテル事故についての報告とそれに対する谷直樹弁護士の見解が掲載されました。
右室壁の穿通を引き起こしたことについて,臨床実務的に明らかな手技上の問題があったとは言えないが,「過誤」があった(すなわち,賠償する)との判定です. この判定の仕方は正しいと思います.
いや・・・

この判定のどこが正しいのか、何をもって正しいと考えているのかがよくわかりません。少なくとも、法的判断としては成り立たないものでしょう。つい最近、私のサイトで「手術の合併症と法的過失」について記事をアップしたところでした。

もしかすると、社会的にはそうあるべきという理想論を述べているのでしょうか。そうだとしたら紛らわしいですね。弁護士を名乗って書かれいているブログなのですから、「法的に正しい判断だ」と誤認されるおそれがありそうです。この記事を見て「この先生なら頼れる」と信じて依頼をして、裁判では案の定負けた、という人が増えないことを祈るばかりです。法律家としての説明責任が問われる記事だと思います。

2011年8月3日水曜日

習熟していないのはどちら?

今日の東京高裁で医療訴訟の第一回口頭弁論を傍聴、事件番号は平成23年(ネ)第2903号。
控訴人が患者関係者、被控訴人が病院側なので、おそらくは地裁で患者側が敗訴したのでしょう。

通常、控訴審というものは、地裁で一度決着している事件の再確認なわけですから、よっぽど逆転につながるような証拠がなければ、地裁と同じ判決が出ることが多く、そのため実際には、第一回口頭弁論でそのまま結審して次回は判決という場合が少なくありません。

さてこの事件、どうやら高裁に移ったあとに原告側から匿名の意見書が出されたようです。井戸端会議であれば匿名の意見だって別に構わないわけですが、裁判というものは、ある人からある人に金銭を国家権力をもって半強制的に移動させるか否かを争うものですから、その国家権力発動の根拠が匿名というのでは権力の横暴にもつながりかねませんから、その取扱いは難しい物があります。それでもこの事件では、わざわざ病院側がその匿名意見書に対して反論書(第1準備書面)を提出したそうです。どうやら匿名意見書が1週間前に出され、病院側の反論書は昨日に出されたようです。

そこで、今日は患者側がその反論書に対して再反論をしたいというのです。それも、今日のこの法廷で口頭で。患者側が「反論書を昨日受け取ったばかりなので」との旨を弁明すると、裁判長は「あなた方が(意見書を)出すのが遅くなったのでこうなったんでしょう」との指摘をするのでした。患者側は、それでもとにかく口頭で主張を述べるので、それを調書にとってもらいたいということで、一応裁判長も了承しました。

で、ひとしきり再反論を述べると、今度は病院側が再々反論をしたいというのです。恐らく裁判長は既に勝負ありと踏んでいたと思われ、「もういいんじゃないですか」との旨が告げられましたが、病院側が「一言ずつだけ」というので、それも裁判長から了承されました。実際には病院側が再々反論を始めると、そんなに短くはなかったため、「一言じゃないじゃないですか」とのツッコミが入れられていました。

ポイントは5点ありました。大雑把で不完全ですが書いていきます。「再反論」が、患者側の主張です。
反論書「肺に酸素が入らなくなっていた状態が継続していたということに根拠はない」
再反論「気管内挿管後のSp02の数値の回復度が、酸素が入らなくなっていた根拠になる」
再々反論「原疾患が関与しており、そのことだけを以て、肺に酸素が入らなかった根拠とするのは失当」

反論書「なぜ13:40-13:41の間は脳が低酸素状態ではなく、13:47には脳が低酸素状態だったと言えるのか」
再反論「この間の6-7分の間に限界を超えたからだ」
再々反論「何ら科学的根拠がない」

反論書「呼吸停止について(・・・聞き取り不十分)」
再反論「何もしていなければその通りであるが、その間に人工呼吸されていることにより、不可逆的な障害が始まるものではない」
再々反論「原疾患が関与しており、担当医の義務違反のみに帰するのは失当」

反論書「(・・・聞き取り不十分)」
再反論「気管内挿管を6-7分怠ったため」
再々反論「無策のまま6-7分経過したわけではないことは、これまでに主張してきた通り」

反論書「(・・・聞き取り不十分)」
再反論「空気の入らないような人工呼吸をするのは、習熟していないということ」
再々反論「(・・・聞き取り不十分)」

詳細はわからないですが、患者に何らかの急変が起きたということのようです。最後の方は傍聴するのがバカバカしくなってきたのですが、担当した医療関係者について「習熟していない」などと主張するのを聞くと、そういうあなたの医療訴訟担当習熟度はどれくらいなのかな?なんてツッコミたくなりますね。まあそういった例は、枚挙にいとまがないんですが。

蛇足ですがこの事件の右陪席裁判官が、以前に地裁で傍聴した、風俗店を舞台にした大変面白い貸金返還訴訟の裁判官だったので、ちょっと嬉しくなりました。

2011年8月1日月曜日

インプラント手術で女性死亡

まずはお亡くなりになった女性のご冥福をお祈り申し上げます。

この事件に対して、谷直樹法律事務所のブログに記事が書かれています。

この記事を見ると、「泣き寝入りで終わらせることのないようにしないといけませんね.」として、その後に説明義務違反が認められた事例や、手技上の過失が認められた事例が例示されています。

裁判で負けた事例についての言及はありません。

負けた事例をあわせて紹介することが義務というわけではないでしょうが、こういう記事の書き方を見ると、「ホラ、こんなに責任が認められた例があるんですよ」という、弁護士側から見ればうまく行ったという例だけを例示して、責任が認められなかった例、つまり弁護士側から見ればうまく行かなかった例を例示していないという、バランスの悪さに嫌悪感を催すというものです。

まあ、美容外科のホームページも似たり寄ったりですから、一方ばかりを責めることはできないとは思いますが、司法の「自分に甘く、他人に厳しい」態度には、いつもながら違和感を感じます。私としてはこの辺の注意喚起を、医療訴訟の原告の方へのアドバイスや、裁判官の方々へのメッセージとして私のサイトにアップしています。

谷直樹法律事務所のブログには、私からすると香ばしい記事が満載されており、今後も注目して行きたいと思います。

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